幼いころにお母さんが繰り返し読んでくれた絵本。
歌ってくれた子守唄。
物心がつく前だったはずなのに、なぜか覚えているなんてことはありませんか?
日常繰り返し見聞きしたことは大きくなってからも潜在的に覚えていたりするもの。
だからこそ小さいうちから綺麗な物や美しい言葉に触れさせたいですよね。
今回は美しい絵に美しい日本語が散りばめられた大人気の絵本「14ひきのシリーズ」から「14ひきのせんたく」をご紹介します。
14匹の何気ない夏の日常を描いた「14匹のせんたく」
流れるポエムのようなテンポのある美しい日本語たち
森の中に住む14匹のねずみ一家の物語。
この絵本の中には夏を感じるワードがたくさん出てきます。
「ふりつづいたあめがやんで、もりじゅうになつのたいようがさしこんだ。」
最初のこの一文で長い梅雨がやっと明け、森に夏がやってきたことが分かります。
「14ひきのせんたく」は1ページ当たりの文字数は決して多くありません。
「あぶらぜみ」「やまゆり」「みんみんぜみ」「にゅうどうぐも」
日本の田舎風景を思い起こさせるような夏のワードが散りばめられ、
「あおいそら」「みどりのかぜ」
といった、ポエムのような美しい日本語表現が並びます。
何気ない日常の風景がキラキラと美しく見えてくる言葉選びに感動します。
大人も癒される…細部まで丁寧に描き込まれた美しい絵
文章も美しいのですが、絵だけ見ていても楽しめるほど美しいのが「14ひきのシリーズ」の魅力。
14匹いる一家それぞれの表情や特徴、細かな動きや服装だけでなく、背景に映り込む木々や草花、虫たちの描写まで全てが繊細で美しいです。
絵本を読み進める中で 「今この子は何してるのかな?」「この虫さんは何かな?」 といったやりとりを子どもとしてみても楽しいかもしれませんね。
ほのぼのとした森の風景は、大人が見ても癒されるものばかり。
「14ひきのシリーズ」に大人のファンが多いのも頷けます。
夏の初めにみんなで楽しむ14匹のお洗濯
おとうさん、おかあさん、おじいさん、おばあちゃん、そして10匹のきょうだい。
家族みんな川でお洗濯。 洗濯板と一緒に流されてしまったかえるくん。
追いかけて助けたら…。
なんてことないただの日常。
ただ、今の日本ではほとんど見られなくなってしまった家族の日常。
夏の空、風、雲、川。
おじいちゃんとおばあちゃんも一緒に住んでいる大家族も今ではすっかり少なくなりましたね。
子どもが「14ひきのせんたく」に惹かれるのは 目新しいからかもしれません。
大人が「14ひきのせんたく」に惹かれるのは 懐かしいからかもしれません。
昔懐かしい綺麗な風景と家族のだんらんが 「14ひきのせんたく」には詰まっています。
セイル
