ねずみくんのチョッキ/なかえよしを 作 上野紀子 絵(ポプラ社)【絵本レビュー】

ねずみくんのチョッキ/なかえよしを 作 上野紀子 絵(ポプラ社)【絵本レビュー】 遊び
「ねずみくんのチョッキ」
(ねずみくんの絵本(1))
作:なかえよしを
絵:上野紀子
出版社:ポプラ社

「ねずみくんのチョッキ」あらすじ
おかあさんがあんでくれた、かわいいチョッキ。
“ちょっときせてよ”と動物のなかまたち。
あらあら、チョッキがどんどんのびて・・・。

ポプラ社公式サイトより

「ねずみくんのチョッキ」ってどんなお話?

子ども達も大好きな、なじみのある動物たちが次々に出てくる「ねずみくんのチョッキ」
小さなねずみくんが着ているのは、お母さんに編んでもらったお気に入りの赤いチョッキ
とてもステキな赤いチョッキを見た他の動物たちが、次々とそのチョッキを借りて羽織っていきます。
次から次に羽織っていく動物たち。
最後にはねずみくんの何十倍も大きなぞうくんが…。

「ねずみくんのチョッキ」を着る動物たちのドヤ顔にほっこり

ねずみくんのチョッキを見ると、表紙のねずみくんはお気に入りのチョッキを着て、なんだか誇らしげ。
表情もどことなくドヤ顔っぽく感じます。
物語では様々な動物がねずみくんのチョッキを借りて着るのですが、そのたびに誇らしげなドヤ顔とポーズをきめています。
ちょっぴりキツイチョッキのせいか、笑顔に無理があるような感じもするのですが、無理をしつつも「どうだい?似合うだろ?」と言わんばかりの堂々としたポージングに思わずクスっとしてしまい、大人でもほっこり癒されます。
たくさんの動物たちが出てくるのですが、本文の中に動物の名前は全く出てきません。
ゾウやライオンなど、分かりやすい動物もいるのですが「これはアヒルかな?ガチョウかな?」「これはアシカかな?オットセイかな?」とはっきり区別ができない動物も出てくるので、そういった場面では子どもと一緒に「この動物は何だと思う?」と一緒に考えてみるのも楽しいですね。

繰り返しのリズムが楽しい「ねずみくんのチョッキ」

いい チョッキだね
ちょっと きさせてよ

うん

すこし きついが
にあうかな?

ねずみくんのチョッキより

ねずみくんのチョッキの8割はこの文章の繰り返しです。
同じ文章の繰り返しが良いテンポとなって、子ども達が惹きつけられます。
毎回同じリズムで読んであげると、子どもも覚えやすく2回目、3回目と読み返していくうちに、本文を覚えて一緒に読んでくれるようになることも。

どんどん伸びていく「ねずみくんのチョッキ」は…

ねずみくんのチョッキは色んな動物たちに着回されていき、ついに最後はぞうくんが…。
初めて読んでも、察しの早い子は3匹目あたりで最後の展開に気付いてしまったりすることもあると思いますが、ぞうくんが着た後の伸び伸びになってしまったチョッキを引きずりながら、無理矢理着て歩いて行く哀愁漂うねずみくんの後ろ姿は、悲しむねずみくんとは裏腹についつい笑ってしまいます。
最後のページをめくると伸び伸びのチョッキをぞうくんの鼻にかけて、ブランコのように楽しむねずみくんの姿がありました。

お気に入りのチョッキを伸び伸びにされてしまったねずみくん。悲しかったのは一瞬だけ。
伸びたチョッキもぞうくんと一緒に遊べるブランコに早変わり。
チョッキをどんどん伸ばしてしまった仲間たちに怒ってもおかしくないシチュエーションですが、ねずみくんは決して怒りませんでした。
それは仲間たちには全く悪気はなく、ねずみくんのチョッキがとてもステキで自分もぜひ着てみたい!と思ったから。
自分がお気に入りのチョッキを仲間たちもステキだと思ってくれたこと、ねずみくんも嬉しかったのではないでしょうか。
だからこそねずみくんは仲間を責めることをせず、むしろ一緒に楽しめる方法を見つけたんだと思います。
子どもも楽しめ、大人もほんわか優しい気持ちになれる絵本でした。
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